ハイパービルロックセラとは? 特徴と耐用年数を台無しにする「落とし穴」

「外壁塗装をしたいが、費用は抑えたい」 「でも、すぐに劣化するのは困る。ある程度の耐久性は欲しい」


そう考えたとき、「シリコン塗料」は最も有力な選択肢の一つになります。その中でも「ハイパービルロックセラ」は、コストと性能のバランスが良い塗料として、業者から提案されることも多い製品です。


期待される耐用年数は10年~12年。 「これなら十分だ」と納得して塗装工事を終えたにもかかわらず、もし5年か6年ほどで、なんとなく全体が薄汚れて見えたり、新築時の鮮やかな色が褪せてきたりしたら、どう感じるでしょうか。


「シリコン塗料なんて、こんなものか…」 「結局、安物買いの銭失いだったのかもしれない」


そう諦めてしまうのは、まだ早いかもしれません。 ハイパービルロックセラは、シリコン塗料の中でも優れた性能を持つ塗料です。それにもかかわらず期待した耐用年数を全うできなかったとすれば、その原因は塗料のグレードだけではな​​く、別のところにある可能性が考えられます。




■そもそも「ハイパービルロックセラ」とは? 期待耐用年数と塗料の全特性

まず、ハイパービルロックセラがどのような塗料なのか、その基本的な特性と耐用年数について確認しておきましょう。



・ハイパービルロックセラとは「水性1液型シリコン塗料」です


これは、ロックペイント社が製造・販売している塗料で、分類としては「水性1液型シリコン樹脂塗料」にあたります。 外壁塗装の塗料は、樹脂によって耐久性が異なり、一般的に「シリコン」は、アクリルやウレタンよりも耐久性が高く、フッ素や無機よりは劣る、「標準的なグレード」として広く普及しています。 「水性1液型」とは、水で薄めて使い、主剤と硬化剤を混ぜる必要がない(1液)タイプという意味で、臭いが少なく、現場での作業性が良いという特徴があります。



・期待耐用年数は「10年~12年」程度


ハイパービルロックセラの期待耐用年数は、10年~12年程度とされています。 これは、日本の多くの住宅で標準的に採用される塗料の耐用年数と合致しており、10年に一度の塗り替えサイクルを考える上で、非常に現実的でコストパフォーマンスの高い選択肢と言えます。



・主なメリット:バランスの良さ


この塗料の最大のメリットは、その「バランスの良さ」です。 シリコン樹脂による十分な「耐久性」を持ちながら、汚れを寄せ付けにくい「低汚染性」、そして「防カビ・防藻性」も備えています。初期費用を抑えつつ、外壁を守るために必要な機能を一通り網羅している点が強みです。



・主なデメリット:上位グレードとの比較


もちろん、万能ではありません。 あくまで「標準グレード」であるため、15年や20年といった超長期の耐久性を求める場合には、フッ素塗料や無機塗料といった上位グレードには及びません。 ハイパービルロックセラは、「標準グレードの中の優等生」といった立ち位置の塗料だと理解するとよいでしょう。




■なぜ? カタログ通りの耐用年数が出ない「3つの外的要因」

ハイパービルロックセラが10年~12年という期待耐用年数を持つ、バランスの取れた塗料であることは間違いありません。 では、なぜ冒頭で触れたような「5~6年で劣化が目立つ」といった事態が起きてしまうのでしょうか。


カタログに記載されている「期待耐用年数」は、あくまで一定の条件下で試験された目安の数値にすぎません。 実際の家は、一軒一軒が異なる環境に置かれており、主に3つの「外的要因」が塗料の寿命に大きく影響します。


立地条件(紫外線・湿気) 例えば、南向きで一日中強い紫外線にさらされる壁面は、北側の壁面よりも早く色あせが進行します。また、川沿いや山林の近くで湿気が多い場所はコケやカビが発生しやすく、塗膜の耐久性を試されます。


既存の下地の状態 これが最も見落とされがちで、重要なポイントです。 前回の塗装から10年以上経過した外壁は、目に見えにくくても、細かなヒビ割れや、古い塗膜の浮き、外壁材自体の劣化などを抱えていることがほとんどです。 この「下地」が傷んだ状態で、いくらハイパービルロックセラを上から塗っても、意味がありません。不安定な土台の上に塗装をしているため、下地ごと塗膜が剥がれ落ちてしまうからです。


施工品質 そして、上記2つの要因を正しく見極め、対処できるかどうか。それが「施工品質」です。 ハイパービルロックセラのような標準的な塗料は、良くも悪くも「施工の質」が耐用年数に素直に反映されます。 その性能を100%引き出すための「正しい施工方法」がメーカーによって定められており、それを守れるかどうかが最大のカギとなります。




■要注意!シリコン塗料の性能を台無しにする「手抜き工事」の手口

ハイパービルロックセラの耐用年数が実現するかどうかは、施工品質にかかっていると述べました。 この塗料は広く普及している標準的なシリコン塗料であるため、残念ながら「塗料の知識が浅い業者」でも扱えてしまう、という側面があります。


その結果、基本的なルールが守られず、塗料の性能が発揮されないケースが後を絶ちません。 典型的な「失敗パターン(手抜き工事)」をいくつかご紹介します。



・手口1:高圧洗浄や下地処理の時間を短縮する

塗装工事で最も重要な工程は、実は塗料を塗る「前」の作業です。 古い汚れやコケ、剥がれかけた塗膜を徹底的に洗い流す「高圧洗浄」。そして、ヒビ割れを補修し、劣化箇所を直す「下地処理(ケレン作業など)」。 これらの作業が不十分なまま塗装をすると、汚れや古い塗膜の上から塗料を塗ることになり、密着性が著しく低下します。数年も経たずに塗膜がベリベリと剥がれてくる原因のほとんどは、この下地処理の甘さにあります。



・手口2:メーカー規定の希釈率(うすめ方)を守らない

塗料はそのまま使うのではなく、指定された「水」で希釈して使います。 ハイパービルロックセラも同様に、メーカーが「〇〇%以内で希釈する」という規定を定めています。 しかし、作業効率を上げたい(塗りやすくしたい)一部の業者は、規定以上に薄めてしまうことがあります。 塗料を薄めすぎると、当然ながら塗膜も薄くなり、期待される10年~12年の耐久性は全く発揮されません。



・手口3:乾燥時間を守らない(インターバル)

塗装は「下塗り」「中塗り」「上塗り」と、基本的に3回塗りを重ねます。 この際、「下塗りが乾いてから中塗りを塗る」「中塗りが乾いてから上塗りを塗る」という「乾燥時間(インターバル)」が厳密に定められています。 工期を短縮したい業者は、まだ塗料が生乾きの状態で次の塗装を重ねてしまうことがあります。これも塗膜の密着不良や、数年後の「縮み」「剥がれ」といった重大な不具合に直結する行為です。




■ハイパービルロックセラの耐用年数を最大限に引き出す「優良業者」の条件

では、ハイパービルロックセラの性能を100%引き出し、期待される10年~12年の耐用年数を実現するためには、どのような業者に依頼すればよいのでしょうか。 塗料のカタログだけを見て決めるのではなく、以下の「施工品質を見極める条件」を確認することが重要です。



・条件1:塗料の特性を熟知した「有資格者」が施工する

ハイパービルロックセラは作業性が良い塗料ですが、それは「誰が塗っても同じ」という意味ではありません。 その日の気温や湿度、下地の状態に合わせて、最適な希釈率や乾燥時間を判断するには経験が必要です。 「一級塗装技能士」のような国家資格を持つ職人が、知識と経験に基づいて丁寧に施工管理してくれるかどうかが、品質の分かれ目となります。



・条件2:その地域での「豊富な施工実績」がある

塗装は、その地域の気候や特性(紫外線が強い、湿気が多いなど)を理解していることが重要です。 長年にわたり、その地域で多くの家を塗装してきた実績(例えば、創業して数十年、施工実績が数千件など)は、信頼の証となります。豊富な実績は、それだけ多くのノウハウが蓄積されていることを意味します。



・条件3:「下地処理」の重要性を説明し、徹底している

見積もりや現地調査の際に、「塗料の話」ばかりする業者には注意が必要です。 優良な業者は、「あなたの家の下地はこういう状態なので、こういう補修が必要です」と、塗装の耐久性の8割を決めるとも言われる「下地処理」の重要性や作業内容をしっかり説明してくれます。見えなくなってしまう部分にこそ手を抜かない姿勢が、塗装の耐用年数を決めます。


もし、ハイパービルロックセラが持つ10年~12年以上の耐久性、例えば15年、20年といった長期の安心を求めるなら、フッ素塗料や無機塗料といった上位グレードの選択肢もあります。 こうした提案も含め、自分の家に最適な塗料プランを一緒に考えてくれる業者を選びましょう。


まずは、どのような塗装プランがあるのか、専門家の話を聞いてみることをお勧めします。 [塗装プランや料金について詳しく見てみる] (https://www.ohara-tosou.jp/painting)




■塗装の価値は「塗料のグレード」と「業者の技術」で決まる


ここまで、「ハイパービルロックセラとは何か」、そして「その耐用年数を最大限に発揮する方法」について解説してきました。


ハイパービルロックセラは、シリコン塗料の中でも耐久性、低汚染性、防カビ・防藻性などのバランスが取れた、非常に優れた「標準塗料」です。 しかし、その性能は、カタログスペックだけで保証されるものではありません。


高圧洗浄や下地処理といった「塗る前の準備」をいかに徹底できるか。 メーカーが定めた希釈率や乾燥時間をいかに忠実に守れるか。


塗料の真価は、それを扱う職人の技術と知識、そして誠実な姿勢にかかっています。 「標準的な塗料でいい」と選んで後悔しないために最も重要なことは、「この塗料を使いたい」と決めることではなく、「この業者なら信頼できる」というパートナーを見つけることです。


塗装工事は大きな決断です。まずは小さな疑問や不安から、専門家に相談してみてはいかがでしょうか。 [塗装に関する無料相談・お問い合わせはこちら] (https://www.ohara-tosou.jp/contact)