塗装建設業の許可取得条件と申請流れを解説!工事内容・費用相場・必要資格もわかるガイド  

「塗装工事業で建設業許可の取得が必要なのは、請負金額が【500万円(税込)以上】の工事や、建築一式工事で【1,500万円(税込)以上】の場合です。2023年の国土交通省発表によると、全国の建設業許可業者数は約47万社。そのうち塗装工事を請け負う企業は年々増加し、許可取得の重要性が高まっています。


『現場で必要な許可や資格がよく分からない』『無許可だとどんなリスクがあるの?』と不安を感じていませんか?実際、許可を取らずに営業した場合、【3年以下の懲役または300万円以下の罰金】が科される可能性があり、経営に大きな損失をもたらします。


正しい知識があれば、法令違反や想定外の費用トラブルをしっかり回避できます。この記事では、塗装工事業に特有の許可要件や申請手順、費用の相場、最新の法令動向まで、現場経験豊富な専門家の知見をもとに、わかりやすく解説します。

最後まで読むことで、ご自身の事業のリスクを最小限に抑え、安心して塗装工事業を展開するための実践的なポイントが手に入ります。



■塗装工事業とは?建設業許可との基本的な関係と定義

建設業における塗装工事業の業種区分と法的定義

建設業の中で塗装工事業は、建設業法に基づく専門工事のひとつに区分されています。塗装工事業とは、建物や構造物の内外壁、橋梁やプラント設備、自動車などに塗料や防水材を塗布し、保護や美観、機能性を高める業務です。塗装工事業が扱う工事の規模や内容により、建設業許可が必要となる場合があります。特に「元請として1件500万円以上(消費税含む)」または「下請として同額以上」の工事を請け負う場合、許可取得が義務付けられています。


塗装工事業の主な業種区分は以下の通りです。

塗装工事業の法的定義に基づき、正確な業種区分を理解することが、適切な許可取得と信頼性向上につながります。


塗装工事の具体的な作業内容と範囲

塗装工事の作業内容は多岐にわたります。主に以下のような工程が含まれます。


● 下地処理(洗浄、ケレン、ひび割れ補修など)

● 下塗り・中塗り・上塗りの施工

● 各種塗料(合成樹脂塗料、ウレタン、シリコン、フッ素など)の選定と塗布

● 鉄部や木部、外壁、屋根、サイディングなど多様な素材への対応

● 防水塗装や遮熱・断熱機能を付与する特殊塗装


住宅やマンション、工場、ビル・橋梁など、塗装の対象や用途に応じて適切な工程管理や技術が求められます。品質確保のためには、現場経験豊富な技術者による管理と、適正な塗料選定が重要です。


建設業許可が求められる理由と法令の概要

塗装工事業で建設業許可が必要とされる理由は、公共性や安全性を守るためです。許可取得のためには、専任技術者や一定の実務経験、資金的要件、事務所の設置など複数の条件を満たす必要があります。

建設業許可を取得することで、公共工事や大規模案件への参入が可能となり、法令順守の証明として顧客からの信頼が高まります。


他の関連工事(防水工事・屋根工事等)との違いと境界線

塗装工事業と防水工事業、屋根工事業は一見似ていますが、それぞれ施工範囲や目的が異なります。下記の表で違いと境界線を整理します。

防水工事は主に雨水侵入防止が目的で、塗装工事は美観や保護目的が中心です。屋根工事は屋根材の取付や修繕が主で、塗装作業も含む場合がありますが、主業務が異なります。事業区分や許可申請時には、自社の主な業務内容を正確に区分し、適正な手続きを行うことが重要です。



■建設業許可が必要な塗装工事の条件と金額基準

建設業許可が必要となる工事金額とその根拠

塗装工事を請け負う場合、建設業許可が必要となるかどうかは、請負金額によって明確に定められています。原則として、1件の請負金額が500万円(税込)以上となる塗装工事を元請・下請問わず請け負う際には、建設業許可が必須となります。これは建設業法で定められており、外壁塗装や屋根塗装、防水工事なども該当します。

下記のテーブルは、塗装工事における建設業許可が必要となる基準をまとめたものです。


ポイント

● 工事金額は「材料費+工事費」の総額で判断

● 複数回に分けた契約でも、実質的に一連の工事である場合は合算される


許可が不要なケースとその注意点

塗装工事の請負金額が500万円未満(税込)の場合、建設業許可は原則として不要です。個人事業主や小規模な塗装業者は、この範囲内での業務が可能です。ただし、500万円未満の工事でも反復継続して行う場合や、他の工事と合わせて合計が基準額を超える場合には、許可が必要となることがあります。

注意点

● 小規模でも信頼性や保険加入状況を確認

● 許可がない業者は大規模な工事を請け負えない

● 住宅リフォームや修繕工事でも金額基準を超えると許可が求められる


信頼できる業者選びのために

● 許可番号の提示があるかチェック

● 資格保持者(例:一級塗装技能士)が在籍しているか確認


無許可営業のリスクと法的罰則

建設業許可が必要な塗装工事を無許可で請け負うと、重大なリスクや法的罰則が科されます。無許可営業は建設業法違反となり、行政からの業務停止命令や、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科される場合があります。また、無許可業者との契約はトラブルの温床となるため、発注者側にも損害が及ぶ可能性があります。


無許可営業の主なリスク

● 行政処分(営業停止や指導)

● 刑事罰(懲役・罰金)

● 社会的信用の失墜

● 保険や補償が適用されないリスク


安全で信頼性の高い取引のために

● 事前に業者の許可取得状況を確認

● 正規の許可業者への依頼を徹底


工事の安全と法令順守、安心のために、塗装工事の依頼先選びは十分に注意しましょう。



■塗装工事業で建設業許可を取得するための詳細

塗装工事業で建設業許可を取得するには、厳格に定められた条件を満たす必要があります。主なポイントは「経営業務管理責任者」「専任技術者」「財産的基礎」「欠格要件の確認」「社会保険の加入」の5つです。それぞれの要件をクリアすることで、法的に認められた事業運営が可能となり、発注者からの信頼獲得にもつながります。


経営業務管理責任者の必要条件と証明方法

経営業務管理責任者は、会社の経営に直接携わる役員等の中から選任され、事業運営の経験と知識が求められます。条件としては、原則として5年以上の建設業の経営経験が必要です。証明方法は、過去の在籍証明書や工事請負契約書、法人の登記簿謄本など、経営に関与していたことを示す書類が必要となります。


経営業務管理責任者の証明書類例


専任技術者の資格要件と実務経験

専任技術者は、塗装工事の現場管理や品質確保の要となる存在です。建設業許可を取得するには、原則として「一定の学歴+3~5年の実務経験」もしくは「資格保有」が求められます。具体的には、一級または二級塗装技能士、土木施工管理技士、建築施工管理技士などが挙げられます。学歴や資格によって必要な実務経験年数は異なります。


資格の種類と実務経験の具体的な証明例

塗装工事業で認められる主な資格と、実務経験の証明方法は以下の通りです。



実務経験の証明には、工事台帳、給与台帳、出勤簿、職務経歴書などを活用します。これらの書類で、塗装下地や塗装工程に携わった具体的な業務内容を明示することが重要です。


財産的基礎と金銭的信用の基準

建設業許可では、事業の継続性を担保するために十分な財産的基礎が求められます。具体的には、自己資本が500万円以上ある、または直近5年間において500万円以上の資金調達能力があることが条件です。これを証明するためには、預金残高証明書や決算書などの提出が必要となります。


主な証明書類

● 預金残高証明書

● 貸借対照表・損益計算書(決算書)

● 融資契約書


欠格要件と誠実性の確認

許可申請時には、欠格要件に該当しないことが求められます。暴力団関係者や過去に重大な法令違反歴がある場合は許可を受けることができません。また、過去に建設業法違反で処分を受けた経歴がある場合も同様です。自社および役員が誠実性を持って事業を営むことが重視されます。


欠格要件チェックリスト

● 暴力団関係者でない

● 重大な法令違反歴がない

● 禁固以上の刑に処された経歴がない


社会保険加入義務の重要性

建設業許可の取得においては、社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)への適切な加入が義務付けられています。保険未加入の場合、許可申請が受理されない場合もあります。加入状況は保険証や加入証明書などで確認され、従業員の安心と企業の信頼性向上にも直結します。


社会保険加入に必要な書類

● 健康保険・厚生年金の加入証明

● 雇用保険の適用事業所証明


塗装工事業で安定的に事業を継続するためには、これらの要件を全て満たし、確実な証明書類を揃えることが不可欠です。



■建設業許可申請の具体的な流れと必要書類

申請前の準備と確認事項

建設業で塗装工事を行うには、許可取得前の準備が重要です。まず、業種区分として「塗装工事業」が該当しているか確認します。許可が必要となるのは、1件あたりの請負金額が500万円以上(消費税含む)の工事を受注する場合です。以下の要件も満たす必要があります。


● 経営業務の管理責任者が在籍していること

● 専任技術者を配置していること

● 財産的基礎を有していること

● 欠格要件に該当しないこと


また、個人事業主・法人の別、役員や事務所の所在地、職歴、実務経験なども事前に整理しておくことが大切です。これにより、申請時のトラブルや書類不備を防ぐことができます。


必須書類一覧と取得方法の詳細

塗装工事業の建設業許可申請には、多くの書類が必要です。以下に主要な書類と取得先をまとめます。


これら以外にも、建設業許可に必要な条件を満たしていることを証明する書類が求められる場合があります。申請内容や会社の状況によって、追加書類が必要なこともあるため、事前に行政書士など専門家に相談するのも有効です。


申請提出から許可取得までの審査プロセス

申請書類がすべて揃ったら、管轄の都道府県庁または国土交通省へ提出します。提出後の審査は、主に以下の流れで進みます。

1. 書類審査:記載内容や証明書類のチェック

2. 補正指示:不備や追加書類があれば連絡・再提出

3. 実態調査:必要に応じて現地調査や面談

4. 許可の可否決定


標準的な審査期間は1~2か月程度ですが、内容や時期によって前後することもあります。許可取得後は、許可証が交付され、正規の建設業者として塗装工事業を営業できます。更新や変更が必要な場合もあるため、許可維持の管理も欠かせません。



■塗装工事の施工工程と設備・材料の基礎知識

一般的な塗装工事の流れと下地処理の重要性

塗装工事は建設業の中でも品質が求められる分野です。主な流れは以下のとおりです。


1. 現地調査と診断

2. 足場設置・養生

3. 下地処理

4. 下塗り・中塗り・上塗り

5. 最終検査・引渡し


中でも下地処理は塗装の耐久性や仕上がりを左右する重要な工程です。ひび割れやサビの補修、洗浄、補強などを徹底して行うことで、塗膜の密着性と長寿命化が期待できます。下地状態を正確に見極め、適切な方法で施工することが信頼できる塗装業者の条件です。


塗装に使われる主な設備と道具の紹介

塗装工事では多様な設備と道具が使われます。主なものを下記テーブルでまとめます。

安全性や施工精度を高めるため、経験豊富な技術者が設備選定から管理まで一貫して対応することが大切です。


使用される塗料の種類と特徴

塗料選びは耐久性やコストに直結するため慎重な判断が求められます。主な塗料の種類と特徴をまとめます。

建物や用途に合わせて最適な塗料を選定することで、メンテナンスコストの削減や長期的な資産価値の維持が可能です。塗料メーカーや施工会社と十分相談のうえ、最適な仕様を決めることがポイントです。



■塗装工事業の費用相場と見積もりのポイント

塗装工事の相場価格と費用決定要因

塗装工事業の費用相場は、建物の規模や塗装面積、使用塗料の種類、下地の状態、施工方法などによって大きく変動します。一般的な戸建て住宅の外壁塗装の場合、30坪前後で約80万円~130万円が目安です。費用を構成する主な要素は、足場設置費、洗浄・下地処理費、塗料費、施工費、養生費などです。さらに、耐久性の高い塗料を選ぶ場合や、下地の劣化が進んでいる場合は追加費用が発生することもあります。下記のような費用決定要因をしっかり把握することが重要です。


見積もり時に注意すべきポイントと比較基準

見積もりを依頼する際は、複数の業者から詳細な見積書を取り寄せることが重要です。下記のポイントを確認しながら比較することで、適正な価格と内容を見極められます。


● 見積書の内訳が明確か(塗装面積、塗料の種類、工程ごとの費用明記)

● 使用する塗料や工法の説明があるか

● 下地補修や付帯工事の有無・費用

● 保証内容やアフターサービスの明示

● 建設業許可の有無と保険加入状況

● 金額が相場から大きく逸脱していないか


また、安さだけで業者を選ぶと、必要な工程の省略や品質低下につながるリスクがあります。工事内容・管理体制・担当者の対応まで総合的に比較しましょう。


悪質業者を見抜くためのチェックポイント

塗装工事業界には、悪質な業者も存在するため、以下のチェックポイントを押さえて安心して依頼できる業者を選びましょう。


● 必要な建設業許可・資格があるか(500万円以上の工事は許可必須)

● 見積書に不要な項目や不明瞭な費用が含まれていないか

● 契約書を提示しない、急かすなど不自然な対応がないか

● 会社の所在地・代表者・連絡先が明確か

● 過去の実績や口コミ、担当者の説明力・誠実さ


特に、建設業許可証や資格証明を確認することで、信頼性の高い業者か判断しやすくなります。強引な営業や極端に安い見積もりには十分注意してください。



■会社概要

会社名・・・ 小原塗装

所在地・・・ 〒567-0015 大阪府茨木市西太田町20−2

電話番号・・・072-623-7973